| 名前 | 秋元 康 あきもと やすし |
| 出身地 | 東京都目黒区 |
| 生年月日 | １９５８年５月２日 |
| 主な担当番組 | – ザ・ベストテン – オールナイトフジ – 夕焼けニャンニャン – とんねるずのみなさんのおかげです。 |
Ｑ：テレビ史上、最高の企画だと思うのは？
深田 アンケートの項目に「テレビ史上、最高の企画だと思うのは？」というのがあるんですけれども、秋元さんご自身が企画した以外のもので、そう思うものはありますか？
秋元 やっぱり『料理の鉄人』は、小山薫堂と田中経一はよくやったなって思いますよね。というのも、ああいった企画はあの前から色々な会議で、何度も出ていたはずなんですよ。でも「負けた方はどうするの？」ってところで止まってしまっていたと思うんです。そういった企画を実現させて、さらには「料理の鉄人」に出ること自体がステータスになっていった。キッチンスタジアムというセットで実況を交えながらやるという演出は素晴らしいなと思いましたよね。
深田 なるほど。テレビの企画で他に挙げるなら何かありますか？
秋元 『ウリナリ』でやっていたポケビは、曲もいいし、番組とリンクしてやるっていうのは、面白いなと思いましたね。ああいったことは放送作家だからこそ出来ることだし。野猿もそうですけど。
深田 はい。
秋元 あとは『トリビアの泉』っていう番組がありましたけど、あれをやる前に僕も元フジテレビの吉田正樹さんと「『明日話したくなること』という企画を出来ないか？」と、話したことはあったんです。「銀行にある観葉植物は強盗が入ってきた時に、犯人の背丈を推測するため」っていう雑学があるじゃない？ああいう『明日話したくなること』をベスト１０形式で発表していく、という企画を考えたことはあったんです。結局、その企画は通らなかったんですけど、のちに『トリビアの泉』が始まったときに、ボタンを押したら「へぇ」という声が出るのをやっていて、あれは素晴らしいなと思いました。自分はそこまで思いつかなかったな、と。
深田 これ秋元さんに聞いてみたかったんですけど、他の人が考えてヒットしたものに嫉妬とかするんですか？
秋元 ううん、しない。むしろ感心する。
深田 あ、そうなんですか！？
秋元 例えば、初めて東京サンシャインボーイズの舞台を見に行ったときに、「三谷幸喜って天才だな」と思ったし、『池袋ウエストゲートパーク』を見たときは「宮藤官九郎ってすげえな」って思ったし。僕は人の作品や企画を見たら感心するんだよね。他の人の作品とかを見て「自分はそっちに行くのはやめよう」って思うんだよ。
深田 へぇ～。その嫉妬がないっていうのは若い頃からですか？ある程度、世間から認められてからってことではなく。
秋元 若い頃からないね。なぜかというと、放送作家になろうと思ってなったわけじゃないから。「この道で絶対に成功したい」とかもなかったから。ちなみに深田君はなんで放送作家になったの？
深田 僕はスポーツトレーナーになろうと思って大阪体育大学に通ってたんですけど、途中で色々あって「やっぱりないな」ってなって。それで人生の目標みたいなものが何もなくなって「もう死んだろうかな」ってくらいに落ち込んで、家に２週間ぐらい引きこもったんですけど、その時に松本人志さんと中居正広さんが主演された『伝説の教師』っていうドラマをレンタルビデオで借りてきて、ずーーーっと流しっぱなしにしてたんです。それ見ながら「松本さんはカッコいいな～」って思って。自分の才能を仕事にして、自信を持って生きてて、本当にまぶしいな～って思ったんです。それと同じ時期に“放送作家”という仕事があるというのを知って「企画を考える」ということなら僕にも出来ないかなと。それで就職活動もせずに、大学を卒業して上京して、ある時に運よく高須さんに拾ってもらったという感じです。超ラッキーパターンですね。
秋元 高須とはどこで知り合ったの？
深田 以前、松本さんと高須さんでやられていた、東京ＦＭの『放送室』というラジオで、高須さんが「ブレーンを募集する」という発表をされて、それに応募して拾っていただきました。
秋元 そうなんだ。あのさ、たぶん今から４０年くらい前かな。タモリさんの『オールナイトニッポン』の構成作家をやっていたんだけど、その時に僕は「絶対にタモリさんには勝てない」と思ったよ。僕が考えることよりタモリさんが考えることの方が面白かったから。ダウンタウンの松本君と仕事してもそう思うでしょ？
深田 僕は直接、松本さんと同じ会議とかで仕事はしたことないですけど、放送作家でもそう思う人はたくさんいます。
秋元 世の中には「天才」って言われる人がいるからね。だから嫉妬というより、ファンになっちゃうよね。タモリさんとラジオをやっていた時も、番組が始まる数時間前に集まって、ただタモリさんの話を聞いているのが面白かった。タモリさんが考えることが面白いから、自分は放送作家として何の役にも立ってないなって思ってたからね。
深田 すごい話ですね。秋元さんが「世の中には天才がいるよね」って、素直に認めているのが僕としては意外な感じがします。では、テレビ以外で「衝撃を受けた詞」とか「衝撃を受けた企画」ってありますか？
秋元 プロデュースでいうと女子十二楽坊。
深田 お～、なるほど。
秋元 だってあれ凄くない？中国の音楽家を連れてきて、曲を弾いてもらうって。「女子十二楽坊」っていうグループ名もいいし。何より凄いと思ったのは、日本のヒット曲を弾いてもらったっていうことだよね。これは素晴らしい企画だなって思った。
