

名前 (本名) | 八坂英敏 やさか ひでとし |
出身地 | 大分県 |
生年月日 | 1983年8月6日 |
主な担当番組 | – 和風総本家 – お願いランキング – 得する人損する人 など |
Q:今まで自分が通した中でベストな企画は?
2015年~18年にかけて4回特番で放送した「ビートたけしの私が嫉妬したスゴい人(フジテレビ)」です。
自分が大好きな“人間の普遍的な感情”をテレビの企画できたこと。
チーフ作家としてほぼ自分がやりたいことがOAに反映されたこと「嫉妬」の面白さを視聴者に提示できたこと。これまで通した中で一番放送作家として自分の色が出せた番組です。
Q:仕事を始めてから1番衝撃を受けた放送作家は?
「鈴木おさむさん」
企画会議を一緒にした時、たった15分で番組の内容が決まったこと。
ババババ!としゃべりはじめて、スタジオの出演者、VTRの構成と流れ、ネタ例まで全て出来上がったことに衝撃を受けました。そこから僕の中で「企画怪獣」と呼んでいます。
Q:自分がディレクターだったら放送作家は誰を呼ぶ?
「伊藤正宏さん」
僕が最初の仕事で出会ったチーフ作家であり、めちゃイケの創始作家であり、放送作家のスタイルとして尊敬する方です。
会議所作、物腰柔らかいしゃべり方、どんなに細かいことでもアイデアを出す優しさ、そして大御所になっても宿題を若手並みに数もきちんと出してくる一生懸命さ。立場的に偉くなっても「放送作家の仕事」を、手を抜かずに全うしている方なのでこういう方が信頼される放送作家だと思い、いつも見ています。
Q:仕事を始めてから1番衝撃を受けたディレクターは?
「杉本達さん」
「カノッサの屈辱」「未来日記」と伝説的なバラエティを作った演出家。
僕は「写真物語」「エチカの鏡」でご一緒させてもらったが、2つ衝撃を受けたことがあります。
①エチカの鏡の最初の会議で100ページにわたる「台本」を自分で書いてきたこと。そこには冒頭で黒い画面にしずくが落ちるでチャポーン。といったCGのイメージからスタジオのセリフ、エンドロールの最後のカットまで1回分の映像がすべて文字にして書かれていました。そこで集まったディレクターさんに「僕はこれが作りたいです」と言ってみんなに読ませて番組の方向性を全員にわからせたことは後にも先にもそんな演出家は見たことないです。
②写真物語でネタ出しの会議で僕のネタを見た杉本達さんが「お前、数字が獲れそうなネタを持ってくるな。放送作家ならまずおもしろいことを考えろ。数字が獲れるかはこっちが判断する。おもしろいことを考えられなくなったら作家として終わるぞ」と言われたこと。ネタを通すのではなく、面白いことをまず考えてそれが数字に繋がるように、会議で通るように、とデコレーションしていく、今の僕のネタの考え方、会議資料の作り方の基礎になっています。
深田 八坂さんといえば鈴木おさむさんから可愛がられていて、この世代では唯一と言っていいくらいおさむさんと多くの時間を過ごした作家だと思うんですけど。
八坂 そうかもしれないですね。
深田 貴重な生き証人なんで、おさむさんの話はみんな聞きたいやつですから聞かせてもらいますね。出会いは「中居正広のミになる図書館」ですよね?
八坂 そうです。初めて会議に参加したときにいくつか企画案を出したんですが、それから何日か後に分科会でディレクターさんから「おさむさんがデーブ君のこと“久々に活きのいい若手が入った”って 褒めてたよ」って言われて。「ウソでしょ!?」って思ったのを覚えてますね。
で、次の定例会議の時に会議が始まるちょっとした時間に電話番号を聞かれたんです。
深田 それびっくりしますよね~
八坂 それからご飯に誘われたり、企画会議に呼ばれるようになって、テレ朝での仕事が増えていきました。
深田 それがのちのレギュラー17本になっていくんですよね。おさむさんの凄いと思うところって何ですか?
八坂 色々あるんですが、1番はアイデアを出すスピードですかね。
とにかく速い。企画会議をしても席に座ったと同時にどんどんしゃべり始めてタイトル、VTRの流れ、MCまで、ものの15分くらいでバババババ!ってしゃべって、それ横で必死にメモしてたらもう番組が出来上がってる。
それがまた面白いし成立してる。
深田 は~凄いな~。他におさむさんに関して印象に残ってることありますか?
八坂 「1番尊敬してる人、誰ですか?」って一度聞いたら「伊丹十三」って言ったことですかね。(笑)あと、あの方はあれだけレジェンドなのにまったく過去の話をしないんですよ。で、基本ずっと未来の話をするんですよ。「今、こんなこと考えてるんだ~」とか「こういう企画面白くない?」とか、それを楽しそうに話してるっていうのが印象に残ってますね。
深田 やっぱり面白いことをやりたい、っていうのが強いんですね。
八坂 全然あの番組ギャラ安かったとか言わないですから(笑)作家ってわりと言うじゃないですか?「あの番組、あれだけやったのにギャラいくらだったわ~」って。それがまったくない。
深田 言います言います(笑)ぼく先週言いましたわ(笑)そして、八坂さんといえば伊藤さんのことをよく「凄い」と言ってるイメージがあります。
八坂 伊藤さんとは、そもそも僕が21歳で初めてリサーチャーとして入った「プライス4」っていうTBSのド深夜にあった特番で、その番組のチーフ作家さんが伊藤さんで。そこから「和風総本家」でも出会って、僕が1年目の超ダメダメな時から知ってる方なので、伊藤さんはいまだに緊張しますね。
深田 特に凄いと思う部分は?
八坂 色々ありますけど、1番は「宿題(ネタ出し)への姿勢」ですかね。正直、大御所作家さんになると宿題って数行のアイデアであとは会議でしゃべって補うみたいな方が多いですけど、伊藤さんはネタのクオリティはもちろん、写真も貼るし、なんならリサーチして出典のURLまで貼ったりするんで、後輩からしたらゾッとする時があるんですよね(笑)これはイジってるわけではなくて、いい意味で細かいんです。
深田 凄いですね~。たぶん、伊藤さんって今年57歳とかですよ?
八坂 マジですか!?やばいですね!いや、信じらんない!
深田 逆に言うと60歳まで出来るという放送作家の希望でもありますよね。もちろん、選ばれし人は、ですけど。そしてディレクターは杉本さん。
八坂 僕の放送作家人生でターニングポイントの番組があって、それが杉本達さんが演出だった「エチカの鏡」(フジテレビ)。その時に杉本達さんが集めたディレクターさんたちの中にいたのが「和風総本家」のDだったり、「バイキング」のDだったり「シンソウ坂上」のDだったり。この番組に入れたから仕事が広がたってのがありますね。
深田 このアンケートに書いてある「台本100ページ書いてきた」っていうの凄いですね。
八坂 あれはびっくりしました。オープニングのCGから、VTRではこんな音楽が流れて、とか全部書いてるんですよ。杉本さんは番組の世界観にこだわるディレクターさんっていうのは「未来日記」とか「カノッサの屈辱」とかを見てなんとなくわかってましたけど、ここまでやるのか。と思いました。
VTRを撮ってくるのは下のディレクターさんたちだから、それぞれ能力も歴も、センスも違うじゃないですか。人に自分がやりたい世界観を細かく紙にして伝えて、で、みんなに「あ、これを撮らなきゃダメなんだ」って思わせることに命をかけてる姿勢がスゴいと思いましたね。
深田 あとはこの「数字が獲れそうなネタ持ってくんな」っていうのは「見抜かれた~!」って感じですか?
八坂 はい、見事に見抜かれました(笑)自分は面白いと思ってないけど「これなら通るかな」ってネタを出したらそれ言われて。そこからネタ出しの考え方が変わって、どんな番組でも「この番組で出来ることで自分が面白いと思うことは何だろ?」ってちゃんと考えるようになりましたね。
杉本さんのその言葉がなかったら会議で通すためだけにネタを考える薄っぺらい作家になってたと思いますし、そんな作家だったら仕事も増えていないと思います。